特別編ムササ
旅は道ヅレ世は情けですよ
皆サンお元気ですか。マーク2じゃないですよ。ムササですよ。モモンガですがムササなのです。
え。このネタ分かりませんか。流行しているのに。
仕方ないですね。いつの世にも流行とかけ離れた存在はいるものです。モモンガ界もそんな感じですよ。どの業界も同じ悩みがあるんですね。
ところで異界の神様? ぽいですけど、南に何か御用ですか?
私? 私はお使いです。神使いです。なるほどあーるぴーじーの定番。それ人間がやらされるやつじゃないですかヤーダー。モモンガやムササビがやるようなやつで例えてくださいどうぞ。
あー、そうそう話を戻すとですね。私は神使なわけです。神々の一つでもあります。事、ここに至るまでに涙もちょちょぎれる悲しい話があったんですよ。
聞いてみます?
はい / YES
残念でした。どっち選んでも同じタイプですよ。
話を戻すとですね。
我々ムササビ=モモンガ連合はあまり人間族とは関わりをもっていませんでした。猫とは違うんですよ、猫とは。あいつらドアを開けるのも人間の手を借りようとするんですよ! おかしいですよね。プークスクス。
その点我々は違います。上空を滑空できますし、人間の世話にはなりません。野生。そう我々は野生なんです。猫とは違うのだよ、猫とは。
それで何の話でしたっけ。そうそう。我々と人間との距離感ですね。だいぶ離れております。
ところが今回、その我々の代表、つまり私が選ばれて人間に接触するわけですよ。猫ザマァですね☆ミ
なんでそういうことになったかお教えすると、例年10月、出雲で我々非高天原系の神々で会合がありまして。皆でドンチャンやっていたわけです。
私も右に湯呑、左にお箸、膳を頭の上に載せてお仕事していました。給仕です。下っ端はつらいです。誰か新しく神々にならないかしら。
それで私が右往左往していると、大柱の神々が急に真顔で相談をはじめたわけです。ずばり、葦原中つどうしよう会議ですね。そうはいうたかて葦原中つは人間のものという取り決めがあるのですから、割にどうしようもありません。
地の底からケガイが攻めてこようと、ですよ。そういう取り決めなんですから。
しかし。
高天原はこの際置いといて、葦原中つにケガイが満ちると、それ以外の神々......中でも大柱の神々や人間に親しい神々は困ります。祀られていい気になってますからね。
ザ・マ・ァ。
影でプークスクスしていたら背中を掴まれてこのざまですよ。はぁ。つまりですね。私に仕事が回ってきたわけです。
「猫にやらせればいいじゃないですか。猫に」
私はそう言ったんですが、猫は猫で別の世界で大きな人型戦車と一緒に戦っているとかで駄目らしく。
犬でいいじゃないですかと言ったら口答えが多いとかでもう少しで鍋の具になるところでした。危ない。これだから大きい神様はいかんのですよ。
ええと、それでですね。つまるところ私が仕方なくやってきたのがお分かりかと思います。もっと褒めていいのよ。褒めて褒めて。
まあ仕方ありませんね!! このムササ、お目々ぱっちり、みんなのアイドル感ありますもの。やぁ。こまったなあ。
それであなたも、同じく貧乏くじですよね。いや、皆まで言わないでも分かります。幸薄そうな顔していますから。それにしても珍しいですね!? 神々と話ができるなんて。もしかして審神者とかやっていらっしゃる?
違うそうじゃない。なるほど。複雑な事情があるとみました。安心していいですよ!! このムササ、人間には一切興味ありません。今日の給料はよく喋るなくらいのもんですよ。
待って!!!
鍋は、鍋はやめて!! こんなかわいいモモンガ煮て食べたらお腹壊しますよ!! 文明に帰って!! 食肉はスーパーで!!
ふう。危ない危ない。
人間も神々もあんまり変わりませんね。
褒めてねえよ!!
失礼。それでなんでしたっけ。おう。そうそう。
私加護を持って見込みのある少年少女に配ってケガイと戦って貰うんですよ。
大柱の神々にすれば、自分で戦ったほうがずっと早いんですけど、取り決めがありますからねえ。
まったくなんでまたあんな取り決めをしたんだか。もとはと言えば......。
あ。そう言えばあなたのお名前を頂いておりませんでしたね?
ネームエントリーがないタイプ? なんですかそれ。
これから介入。ほうほう。
行き先は同じですか。じゃあ頭の上に載せてくださいね。粗相はまあまあしませんから。
ちょろく鍋の具にしようとしたら頭の上大惨事ですからね!? 野生舐めるな。
またまたー。 よいしょ。
旅は道ヅレ世は情けですよ。歌でも歌いながら行きましょうよ。